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学術論文の執筆と構成 |2019年10月18日

このページでは、「SISTホームページのコンテンツの無料配布での複製利用は自由です。」との利用許諾のもとに、「SIST 科学技術情報流通技術基準」(国立研究開発法人科学技術推進機構)のウェブサイトに掲載されていた、学術論文の執筆・構成についての記載方法を掲載しています。

「SIST 科学技術情報流通技術基準」は現存せず国立国会図書館のウェブサイトに保管されています。
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12003258/jipsti.jst.go.jp/sist/menu_purpose/index2.html


科学技術情報流通技術基準 学術論文の執筆と構成

Preparation and Components of Scholarly Papers

SIST 07と対をなすもので、主として学術雑誌に掲載される学術論文の執筆・出版における基本的な取り扱い、及び標題・著者名・抄録・本文等の構成要素とそれらの記載要領に対して指針を与えるもの。

1.適用範囲

この基準は,学術論文(冊子体,CD-ROM等の電子的パッケージメディア,オンラインの形態のものを含む。以下,これを“論文”と呼ぶ。)の執筆及び出版における基本的な取り扱い,記載すべき事項(SIST 07で規定する学術雑誌に関する事項を除く。)及びそれらの記載要領を示し,論文及び学術的記事の著者,編集者及び出版者に指針を与えるものである。

2.用語の意味

この基準で使用する主な用語の意味は,次のとおりとする。

(1) 学術論文(scholarly paper)
学術的な研究により得られた知見を公表することを目的として,学術雑誌等において出版される論文。原著論文,速報,短報等を含む。

(2) 学術的記事(scholarly article)
主として学術的な知識や情報などの公表,紹介,普及等を目的として,学術論文と類似の発行形態により出版される記事。総説・解説,技術報告・研究ノート等を含む。

(3) 注(note)
論旨を補足するために,本文とは別の箇所に記す文句。本基準では,ページの最下部に記す脚注と,本文末尾に記す文末注を指す。

(4) 電子的補助資料(electronic supplementary material)
論文等の本文に収録していないデータや,高解像度画像,動画,音声,コンピュータ・プログラム等の冊子体では収録できないデータで、電子雑誌の論文等の補助資料として収録されるもの。

3.論文の執筆

論文の執筆は,投稿しようとする雑誌の投稿規程等に基づいて行う。また,社会的規範,関連の学会や諸機関が定めた倫理規程等を遵守するとともに,各分野で確立した倫理的慣習に従うことが求められる。
以下には,該当する投稿規程等がない場合,または投稿規程等に定めのない場合に従うべき最小限の原則を示す。

3.1 オリジナリティと客観性

論文は著者自身の研究成果に基づき,同分野の第三者による検証を可能とするのに必要十分な内容を執筆する。

3.2 同一の研究内容の投稿

同一の研究内容を複数の雑誌に投稿する行為(二重投稿)をしてはならない。ただし,他言語に翻訳する場合であって,かつ各雑誌の投稿規程等が認める場合はその限りではないが,その場合は先行するもとの論文の書誌を記載する。
テクニカルレポート,学位論文,学術大会等における発表論文,又は会議録等で発表した内容を論文として執筆する場合は,もとのテクニカルレポート等の書誌を記載する。

3.3 出典の明示と参照文献

本文中で著者に帰属しない研究成果,データ,図表等を利用した場合は,それらの出典を明示しなくてはならない。また,著者の研究の進歩性を明らかにするため,関係する先行研究は参照文献として参照しなくてはならない。

3.4 著者の範囲

論文の著者は実際にその研究に携わった者であり,論文の内容に責任を持つ者とする。研究に対して助言を与えた者,研究を支援した者については著者には含めないこととし,謝辞等で述べる。先頭著者は主著者が望ましい。

3.5 資金助成

研究に対して資金的な支援・助成があった場合は謝辞等において明記する。

4.論文の構成要素

論文を構成する要素(◎:必須要素,○:準必須要素(記載すべき内容があれば必須),△:任意要素)は,次のとおりである。ただし,下記以外の要素を排除するものではない。
 ◎ 標題
 ◎ 著者名
 ◎ 著者の所属機関名等
 ◎ 抄録
 △ キーワード及び分類
 ◎ 本文(図・表を含む)
 ○ 注
 ○ 謝辞
 ◎ 参照文献
 △ 付録 
 △ 照会先情報
 △ 電子的補助資料
なお,以下の各事項は学術雑誌の要素としてSIST 07で規定されている。
 論文掲載情報
 会議開催情報
 論文種別
 著作権情報
 各種日付(受付日・採択日,公開日)
 ページ又は論文番号
 柱

5. 構成要素の記載要領

論文に記載すべき構成要素の記載要領は以下のとおりとする。各要素の記述言語は,本基準で定める場合を除き,本文と同一の言語を原則とする。記載場所等の出版媒体や表現形式に依存する事項はSIST 07の規定に従う。

5.1 標題

(a)標題は,研究内容を具体的かつ的確に表すように,しかもできるだけ簡潔に記載する。その際,標題中に研究内容を的確に示すキーワードを含むように配慮する。
(b)標題の中には原則として略語,略称は用いない。
(c)論文本文の言語以外に,国際的に広く通用する言語による標題を付記する。
(d)外国語論文の場合は,可能な限り日本語による標題を記載する。ただし,記載箇所は同一の論文中になくともよい。
(e)副標題を付ける必要がある場合は,これを付けることができる。副標題は,原則として1個とする。また,大きな研究計画や連続する研究を連載して発表する場合は,標題の後にシリーズ番号を付け,副標題を付けることができる。
(f)連載では,前報の掲載情報を注に記載することが望ましい。

5.2 著者名

(a)著者名は,その記述を常に統一し,姓・名を略さずに記載する。
(b)著者名の欧文表記には各著者慣用の著者名を用い,姓と名が区別できるように記載する。
(c)論文本文の言語以外に,欧文表記の著者名を付記する。
(d)日本人が書いた外国語論文の場合は,可能な限り日本語による著者名を記載する。ただし,記載箇所は同一の論文中になくともよい。
(e)著者が団体の場合は,まず,その正式名称を省略せずに記載し,その後に所在地を示す。名称の省略形を括弧に入れて付記してもよい。

5.3 著者の所属機関等

(a)著者の所属機関は,当該研究の行われた機関名を記載する。
(b)研究を行った後に著者の所属機関が変わった場合は,注に現在の所属機関名を記載する。
(c)所属機関名は,当該機関の正式名称とする。
(d)所属機関内の部課名等については,正式名称又は各機関の統一された慣習に従うものとする。
(e)著者が複数で所属機関が異なる場合は,記号等を使って著者名と所属機関名とを対応づける。
(f)著者の地位,身分,称号は,原則として省く。
(g)所属機関の所在地は,郵便番号,番地等を省略せずに記載する。
(h)論文本文の言語以外に,欧文表記の正式な所属機関名と所在地を付記する。
(i)外国語論文の場合は,著者の所属機関が日本語名を持つ場合には可能な限りその名称を記載する。ただし,記載箇所は同一の論文中になくともよい。
(j)機関名はSIST 06に従って記載する。

5.4 抄録

(a)抄録は,本文を読まなくても内容の要点が理解できるように記載する。
(b)抄録は,本文と同一の言語で記載する。国際的に広く通用する言語の抄録を付記する。
(c)外国語論文の場合は,可能な限り日本語の抄録を記載する。ただし,記載箇所は同一の論文中になくともよい。
(d)抄録はSIST 01に従って作成する。

5.5 キーワード及び分類

(a)キーワードは,論文内容を適切に表す用語を著者が付与する。必ずしも論文中に含まれる用語である必要はない。
(b)キーワードは,国際的に広く通用する言語又は日本語で記載する。
(c)キーワードは,それぞれの雑誌で,付与方法,又は基準となるものを規定することが望ましい。
(d)分類を付与する場合は,それぞれの雑誌で使用する分類体系を定める。分類体系は広く通用するものを使用することが望ましい。

5.6 本文

5.6.1 記載内容
(a)論文は論理的かつ明確な構想に基づいて記述する。
(b)研究の目的,独創的な点や学術上の意義,先行研究との関連性を明示する。
(c)使用した手法や技術は,同分野を専門とする研究者が読んで検証可能なように記述する。
(d)結果とそれに対する分析は明確に区別して記載することが望ましい。

5.6.2 用字用語,記号等
用字用語,記号,符号,単位,並びに学術用語及び学術的名称(動植物の学名,病名,化合物名等)の表記は,ISO等の標準化関連国際組織及び国内組織による基準に従う。

5.6.3 見出しの番号付け
(a)見出しにおける章・節・項等の展開は,ポイントシステムによって記載し,項で止める。
(b)項以下の細項については,括弧付き数字を用いて細分する。
(c)箇条書きの番号付けは,細項の表示と混同しないようにするため,アルファベット等を用いて表示する。
(d)本文中で参照する場合は,数値や他の番号と混同しないようにするため,章・節・項等であることを明示する。

5.6.4 図・写真・表の番号付け
(a)図・表は,本文に出てくる順に,それぞれ一連番号を付ける。写真等は原則として図に含める。
(b)図・表には,番号に続けて,キャプションを付ける。図の番号及びキャプションは図の下に,表の番号及びキャプションは表の上に付ける。
(c)図・表は,原則として,最初に出現する参照箇所と同一ページ,又はその後のなるべく近い位置に掲載する。

5.7 注

(a)注は,本基準で定める場合を除き,多用してはならない。論文の論旨に直接関係する内容は,注とせず,本文中に記述する。
(b)注には通し番号を付け,脚注の場合は同一ページ内に,文末注の場合は本文の最後に記載する。

5.8 謝辞

研究の過程で,何らかの援助を受けた楊合は,“謝辞”の節を設け,簡潔な謝意を示すことができる。その場合,その援助者及び機関の名称並びに援助の内容等を記載する。

5.9 参照文献

(a)本文の中で文献を参照する場合は,参照文献の一連番号又は参照文献の著者名等を用いた参照記号を該当箇所に記載する。
(b)参照文献は,本文の最後にまとめて記載する。その配列は原則として,一連番号を付けた場合は番号順とし,著者名等を用いた場合は著者名のアルファベット順とする。
(c)参照文献の項目は,1文献ずつ記載する。
(d)原則として,参照文献に注を記入してはならない。
(e)参照文献は,SIST 02に従って記載する。

5.10 照会先情報

照会先の情報として,所属機関の住所や連絡先,ホームページのURL,メールアドレス等を記載する。

5.11 電子的補助資料

(a)電子的補助資料がある場合は,論文中でその存在と入手方法について明記し,電子的補助資料のファイル中には論文の書誌と補助資料の書誌的事項 (名称,提出年月日)を記載する。
(b)ファイルは国際的に認知されている標準的規格に基づいて作成する。ファイル形式は 可能な限りOS に依存しないものとする。独自のソフトウェアが必要な資料についてはソフトウェアも同梱する。

6.関連基準

(1) SIST 01:1980. 抄録作成.
(2) SIST 02:2007. 参照文献の書き方.
(3) SIST 06:2007. 機関名の表記.
(4) SIST 07:2010. 学術雑誌の発行と構成.
(5) JIS Z 8202シリーズ:2000. 量及び単位. (“ISO 31シリーズ:1992”と同等).


■このページの著者:金原 正道

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