参考文献の書き方 |2020年02月08日
参考文献・引用文献に記載するべき文献情報(書誌要素)には、以下の4種類があります。
(1)著者に関する書誌要素: 著者名、 編者名 等 (2)標題に関する書誌要素: 書名、 誌名、 論文標題 等 (3)出版・物理的特徴に関する書誌要素: 版表示、 出版者、 出版年、巻・ 号・ ページ、 DOI 等 (4)注記的な書誌要素: 媒体表示、 入手方法、 入手日付等 * 出典:科学技術振興機構(JST) 「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」7ページ https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf(PDF) © 2011 JST(科学技術推進機構) |
実際に参考文献を記述するには、これらの書誌要素を、原則的に(1)、(2)、(3)、(4)の順に記述します。
当サイトでは、事例を取り上げて、さらに詳しく説明しています。
参考文献の書き方は生物・医学系とか理工系とかで多少の相違はありますが、ここではSIST 02(参照文献の書き方)の方式を簡単に説明します。
SIST 02とは、科学技術振興機構(JST)の科学技術情報流通技術基準(SIST)のひとつで、国際標準化機構(ISO)の規格をもとにしています。
書き方・記述法にバリエーションはありますが、参考文献欄の中では統一した記述にします。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
科学技術論文・法律論文等
当サイトの事例では、枠内に凡例として参考文献の記述すべき書誌要素とその順番を示します。
書誌要素を囲む枠は前節の書誌要素の種類に対応しています。
4種類の書誌要素の区切りはピリオド、各書誌要素の区切りはコンマが原則です。
論文標題・誌名・書名の末尾はピリオドで終えます。
巻・号・ページの記述法には、完全記述方式「vol.10,no.6」と簡略記述方式「10(6)」があります。
簡略記述には巻数字を太字にしたり、アンダーラインを引いたりする方式もあります。
完全記述が望ましいものの、誤解されなければ簡略記述でも構いません。
「Vol.10, No.6」と大文字で始めることもあります。
一般書籍・雑誌・ウェブサイト等
学術論文ではない一般的な文章の場合には、上記のような厳格な記載方法はとられていませんし、その慣行も緩やかです。
ただし「出所の明示、引用箇所とそれ以外の区別等、著作権法の規定や公正な慣行に基づくルールは同様に守るべきものです。
そして出版社や編集者などが独自に記載方法をルール化している場合もありますし、一般のウェブサイトのように著者独自の記載方法をとることもあります。そのこと自体はまったく問題ではありません。
しかしこうした場合にも、参考文献・引用文献として記載するべき内容は、基本的には変わりません。
特許文献の番号等 |2020年01月21日
特許文献の番号等の記載については、SIST 02: 2007. 参照文献の書き方では下記の通りとされています。
「4.3.9 特許文献の番号等
(1) 特許文献の番号は国名及び特許種別(特許,実用新案等の別,出願,公開,特許の別)を付して記述する。これらの要素は,資料に記載されているとおりに記述することを原則とするが,慣例に従って略記,省略してもよい。
例1. U. S. Patent 4,184,697
例2. US 4184697
例3. WO 2004002959
(2) 日本の特許を欧文論文において参照する場合は,(1)にならう。日本の特許を和文論文におい
て参照する場合は,国名の記述は省略してもよい。
例1. JP 2003-131343
例2. 特開2003-131343
例3. 特公平03-002540
4.3.10 公開特許公報等の発行日付
(1) 公開特許公報等の発行日付は,当該公報の発行日を記述する。発行日の月日は省略してもよい。
(2) 年は4桁の西暦紀年で,月日もそれぞれ2桁の数字で表示する。」*1
*1 出典:「SIST 科学技術情報流通技術基準 参照文献の書き方 S I S T 0 2 - 2007」科学技術振興機構(JST)
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST02-2007.pdf(PDF)
© 2007 JST(科学技術推進機構)
雑誌中の論文 *1 |2019年12月08日
*1 出典:科学技術振興機構(JST)「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」9ページ
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf
© 2011 JST(科学技術推進機構)
著者名. 論文名. 誌名. 出版年, 巻数, 号数, はじめのページ-おわりのページ. |
松原茂樹, 加藤芳秀, 江川誠二. 英文作成支援ツールとしての用例
文検索システムESCORT. 情報管理. 2008, vol. 51, no. 4, p. 251-259.
① 出版年は西暦で記述します。
② 巻・号は Vol. 51, No. 4と大文字で始めることもあります。
(例2) 特集記事の場合
岩坂泰信. 特集, 東アジア環境共生系: 黄砂は何を運んでくるのか.科学. 2008, vol. 78, no. 7, p. 729-735.
①「東アジア環境共生系」という特集の中の「黄砂は何を運んでくるのか」という論文の引用です。
(例3) 年次報告書(欧文)
Foster, Jonathan. Collaborative information seeking and
retrieval. Annual Review of Information Science and
Technology. 2006, vol. 40, p. 329-356.
① この資料は国際標準逐次刊行物番号(ISSN)と国際標準図書番号 (ISBN)の両方をもつハードカバーの年刊レビューです。ここでは逐次刊行物(雑誌)の扱いで、記述しました。
(例4) 欧文誌
Lee, Jeffrey E.; Fusco, Marnie L.; Hessell, Ann J. et al. Structure of the Ebola virus glycoprotein bound to an antibody from a human survivor. Nature. 2008, vol. 454, no. 7201, p. 177-182.
① 複数の欧文著者名はセミコロン(;)で区切ります。複数著者で他の著者を省略したので、その他の意味の「 et al.」が付いています。
② 巻・号は Vol. 454, No. 7201と大文字で始めることもあります。
③ 巻・号・ページは、「・・・, 454 (7201), 177-182.」のように、号数を括弧で囲んで、簡略に記述することもできます。
④ Nature誌にはDOI ( Digital Object Identifier)が記述されていました。
この凡例には書いてありませんが、ページの後にDOIを記述して、「 ・・・ , p. 177-182, doi:10.1038/nature07082.」とすると、より詳細な引用法になります。DOIが分かると、国際DOI財団のウェブサイト( http://www.doi.org/)から電子化された論文(記事)にアクセスできます。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
電子ジャーナル中の論文 *1 |2019年12月07日
*1 出典:科学技術振興機構(JST)「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」11-12ページ
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf
© 2011 JST(科学技術推進機構)
著者名. 論文名. 誌名. 出版年, 巻数, 号数, はじめのページ-おわりのページ. (媒体表示), 入手先,( 入手日付) |
松原茂樹,加藤芳秀,江川誠二.英文作成支援ツールとしての用例文検索システムESCORT. 情報管理. 2008, vol. 51, no .4, p. 251-259,doi:10.1241/johokanri.51.251. http://joi.jlc.jst.go.jp/JST.JSTAGE/johokanri/51.251, (参照2008-08-15)
① 冊子の場合に比べると、「注記的な書誌要素」が追加されています。
② この雑誌は PDF版で通しページがありました。
③ この雑誌ではDOI (Digital Object Identifier)も画面に表示されていましたので、ページの後に記述しました。
④ 媒体表示は、例えば CD-ROMの場合には、(CD-ROM)のように記述しますが、インターネットの場合は入手先の記述から媒体は自明ですので、(オンライン)、(Internet)等の媒体表示は省略しま。
⑤ 入手先として URLを記述しました。URLを〈 〉で囲む方式もありま すが、URLであることは自明なので、この括弧は省略します。
⑥ 「Avilable from: http:// ~ 」と記述する方式もありますが、「 Avilable from:」は自明なので省略します。
⑦ 画面上に表示されるURL(http://www.jstage.jst.go.jp/article/johokanri/51/4/51_251/_article/-char/ja)でもアクセス(入手)可能ですが、ここではこのサイトのリンクポリシーに則って記述しました。
⑧ 入手日付はここでは「参照日付」なので、日付の前に「参照」と付けました。「引用」とすることもあります。英語では accessedとか citedと記述します。
⑨ DOIが記述されているので、国際 DOI財団のウェブサイトからアクセスできますが、オンラインジャーナルで閲覧したことを明示するために入手先・入手日付を記述しています。
(例2) オンラインジャーナル(ページ付けがない場合)
Mabon, S. A.; Misteli, T. Differential recruitment of pre-mRNAsplicing factors to alternatively spliced transcripts in vivo.PLoS Biol. 2005, 3(11), e374, doi:10.1371/journal.pbio.0030374.http://biology.plosjournals.org/perlserv/?request=get-document&doi=10.1371/journal.pbio.0030374, (cited 2008-03-09).
① ページ付けが無く、論文番号(e374)がある例です。DOIも記述しています。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
単行本 *1 |2019年12月07日
*1 出典:科学技術振興機構(JST)「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」13ページ
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf
© 2011 JST(科学技術推進機構)
著者名. 書名. 版表示, 出版地, 出版者, 出版年, 総ページ数,(シリーズ名, シリーズ番号), ISBN. |
坂村健. グローバルスタンダードと国家戦略. NTT出版, 2005, 272p.,(日本の<現代>, 第9巻),ISBN4-7571-4100-9.
① 版表示は2版以降の場合に記述し、初版では省略します。
② 出版年は西暦で記述します。
③ ページ数の後に「p.」を付加して、総ページ数であることを示します。
④ シリーズ名・シリーズ番号の「(日本の<現代>,第9巻)」とISBNの「ISBN4-7571-4100-9」は任意記述項目ですので、省略可能です。
Frenkel, D.; Smit, B. Understanding Molecular Simulation:From Algorithms to Applications. 2nd ed., Academic Press,2002, 664 p.
① 版表示(2nd ed.)を記述しました。
② 著者名はフルネームを「姓,名」の順に記述します。複数の欧文著者名はセミコロンで区切ります。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
論文集(単行本)中の論文*1 |2019年11月13日
*1 出典:科学技術振興機構(JST) 「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」14ページ
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf
© 2011 JST(科学技術推進機構)
著者名. “論文名”. 書名. 編者名.はじめのページ-おわりのページ. |
村主朋英“. 医学分野における動向”. 電子メディアは研究を変えるのか.倉田敬子編. 勁草書房, 2000, p. 59-97.
① 論文名と書名の区別を明確にするために、論文名を引用符(“ ”)で囲みます。雑誌の場合は誌名が限られますので、引用符で囲むことはしません。
(例2) 英文論文集
Ito, Kenji. “The geist in the institute: The production of quantum physicists in 1930s Japan”. Pedagogy and the Practice of Science. Kaiser, D., ed. MIT Press, 2005, p. 151-184.
(例3) 年次報告書(欧文)
Foster, Jonathan. “Collaborative information seeking and retrieval”. Annual Review of Information Science and Technology. Cronin, Blaise ed. Information Today, Inc., 2006, p. 329-356.
① この資料は「2.3 雑誌中の論文(記事)(例3)」でも扱いましたが、ここでは単行本として記述しました。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
ウェブサイト中の論文*1 |2019年11月06日
*1 出典:科学技術振興機構(JST)「参考文献の役割と書き方 科学技術情報流通基準(SIST)の活用」15ページ
https://jipsti.jst.go.jp/sist/pdf/SIST_booklet2011.pdf
© 2011 JST(科学技術推進機構)
著者名. “ウェブページの題名”. ウェブサイトの名称.更新日付. 入手先, (入手日付). |
中央教育審議会“. 教育振興基本計画について-「教育立国」の実現に向けて-(答申)”. 文部科学省. 2008-04-18.
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/08042205.htm, (参照 2008-08-13).
① 更新日付は必須項目ではありませんが、画面に表示されている場合はなるべく記述します。
② 入手日付の前には「参照」の他に、accessedとかcitedと記述します。実際の参考文献欄ではいずれかに統一します。
(例2) 欧文記事
International Organization for Standardization. “How ISO develops standards”. International Organization for Standardization.http://www.iso.org/iso/about/how_iso_develops_standards.htm, (accessed 2008-08-25).
① この記事では著者名の記述はありませんが、トップページに「○2008 ISO」の著作権表示がありますので、この団体著者名をフルネームで記述しました。このような場合は、著者名またはウェブサイト名の一方が省略されることもあります。
参考文献の役割と書き方(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
参考文献の書き方 SIST02-2007(PDF) 科学技術情報流通技術基準(SIST)-科学技術振興機構
商標文献の番号等 |2019年09月11日
特許文献が文章や図面で説明する技術的文献であるのに対し、商標登録出願は、商標と、指定商品・指定役務のほかは書誌的記載があるだけの文献となります。
したがって特に「SIST 科学技術情報流通技術基準」においては記載がありません。
また商標登録の手続きの流れとしては、出願後に公開はされるものの、その特定には出願番号、登録番号の記載があれば足ります。
商願2005-012345
商標登録第5012345号
* 参考 「商標登録.com」
https://shohyo-toroku.com/
■このページの著者:金原 正道